幸せになるおまじない

数年後に読み返して思い出したいです

オタクを辞めたい話

もうずっと思っていることだけど、オタクを辞めたい。

 

チケット代、円盤代、遠征費、考えたくないけれど、合計したらもっと他に有意義な使い方ができたのではないかなんて考えてしまう。

だけど他にやりたいこともないのでずるずるとオタクを続けている。

 

ひとりの人を熱心に追いかけたところで残るものはきっとなにもない。

私は本命さんの結婚報告がとてつもなく怖い。

ツイッター上は多くのファン(ファンと呼べるほどの人達かは分からないけれど)による祝福コメントが流れるだろう。

ガチ恋をバカにした外野のツイートが拡散されるだろう。

そのとき私は何を思うのだろうか。

お金使ってない人が勝手に語らないで!なんて怒るエネルギーがあるのかすらわからない。

泣くのかもしれないし、恋から解放されたと安心するのかもしれない。

自分のことなのに自分がわからない。

本命さんのことが本当に好きなのかただの執着なのかもわからない。

ただわかるのは、本命さんを失った自分はとてつもない虚無感を抱えながら生きるのだろうということ。

 

私は既婚者は推せない。

失礼な言い方だけど、私はお芝居や声だけで本命さんを好きになったわけではない。

本命さんを好きな要素には「女を匂わせないアイドルとしての完璧さ」も含まれている。

公式の場で女性の存在を明らかにされることは、私の恋した本命さんのアイドル像が崩壊したことになる。

そうなったとき今まで使ったお金や時間を後悔することが怖い。

使ったお金というのはチケット代や円盤代のことだが、当たり前に考えれば対価としては成立している。

チケットを買ったらステージでは素晴らしいパフォーマンスが見れたし、イベント申込のシリアル目当てで買ったアニメのDVDはきちんと手元に届いた。

ひとつひとつを見ていけば私は商品を買っただけ。

結婚報告を受けたところで、嫌になったなら商品を買わなければいい話だ。

だけどそうは割り切れない。

本命さんのことが好きで使った諸々のお金を総合して、私は本命さんという人間を買った気になっている。

本命さんのことなんて本当は全然知らないのに、イベントで見れる一部の姿に恋して勝手に知った気になっている。

結婚したら私の好きな本命さんではなくなってしまう。

裏切られたなんて思いたくない。

後悔したくない。

だけとオタクはいつだって既に決まったことしか教えてもらえない。

オタクが知ったときにはぜんぶ遅くて、オタクにできることなんてなにもない。

オタクの気持ちは届かない。

 

ないないばかりうるさくなってしまった。それだけこの趣味は失うものが多いように私は感じるし、負担になっている。

もちろん本命さんからもらった思い出は大切なものだ。自分にこんなにエネルギーがあったのかと気付かされた。

きっと本命さんに出会えなかったら私は今でも新幹線に1人で乗れなかっただろうしホテルの予約方法だって知らなかった。

行ったイベントは楽しかった。

バラエティコーナーでたくさん笑ったし、ライブのアンコールでは本命さんのコメントに感動して1人でぐずぐずに泣いたこともある。

初めてプレゼントをプレボに入れた時はすごくドキドキしたし、使ってくれたことがわかると舞い上がるほど嬉しかった。

いつだって本命さんに会えることは幸せだった。

会える予定があるだけで嫌な仕事も乗り越えられた。

それでも、結婚報告の恐怖とこうした幸せを比較したとき、私は結婚報告の恐怖が勝つ。

本命さんからもらった過去の思い出だけじゃ、好きだった本命さん像を失った悲しみをフォローできない。

本命さんを好きになったことを後悔することは自分を否定することになる。

それだけは絶対に嫌だけど、この人のオタクやってて楽しかった!今までありがとう!なんて割り切ることもできない。

 

もしもの話を考えてひどく落ち込む。

明日ブログに「ご報告」が上がる可能性だってゼロではない。

そう考えると明日が来ることにすら怯える。

毎日毎日生きていることが怖い。

きっと私はオタクをやることに向いていない。

好きなブランドの服やコスメを集めたり、普通に観光目当ての旅行をしたり、ちょっといいシャンプーを買ったり…そうやって自分のためだけにお金を使ったほうが将来的によかったと思えるんじゃないか。

貢いでいる感覚はないけれど、搾り取られている感覚はある。

だけど他にやりたいことはない。

行く場所もない。

プレゼントを贈りたい人もいない。

 

オタクを辞めたいけれどせめて手持ちのチケットがあるうちはこの人についていこう、そしてチケットがなくなったら落ち着こう。そう思いながらもチケットが尽きたことはない。

会うとやっぱりこの人が好きだという気持ちでいっぱいになるからだ。

すっぱり切る必要なんてないし、だったら本当に行きたい大きなライブにだけ行くファンになりたい。

だけどそんなものは大人気な作品でしかできないし、いつ行われるのかもわからない。

そんなものを待っていられない。

会える約束が私はいつだってほしい。

チケットが尽きそうになると、もうこの人に会えなくなっちゃうのかと考えてすごく寂しくなる。そして結局つぎのイベントに申し込む。この繰り返しでズルズルとオタクを続けている。

 

オタクを辞めたい。

手持ちのチケットは6月で尽きる。

6月で辞めたい。

それ以降は気になるイベントにだけ行く自称ゆるオタになりたい。

たくさんおしゃれして美容にお金かけて、たまに本命さんのことを考えたい。

自分を大切にしながらちょっと離れたところから本命さんのことを好きでいたい。

だけど会うたびまた本命さんのところに戻ってしまう。

来週も会いに行く。

きっと私はまた本命さんに恋をする。

6月になり、そのうち7月以降のイベントが発表される。

これが最後と思った6月のイベントは通過点になり、私は7月以降も抽選に申し込み、足りないチケットは探すことになるだろう。

この先もチケットが尽きることはない。

私は本命さんから離れなれない。

もう助けてください。

ガチ恋から解放させてください。

 

きこさんのお題箱